マンD基礎論1〜トムとジェリーじゃありません〜
こんにちは、ダーウィンのひろみちです。
そろそろ「アルティメットは会議室でするんじゃない!現場でするんだ!」って声が聞こえてきそうですね。そうだと思います。
さて今日はマンツーマンディフェンスの基礎という重めの話題です。ポジションごとの話に行く前に、基礎について話します。
目次
1.そもそもディフェンスってなに?
2.ディフェンスのつき方〜トムとジェリーじゃありません〜
3.実践〜詰将棋ならぬ詰アルティメットをしてみよう〜
1.そもそもディフェンスってなに?
なんでしたっけ?追いかけっこ?ディスクをカットすること?オフェンスにパスを出させないこと?
僕の思う答えは
パスが通るエリアを少しでも狭くすること
です。
TOの種類は①ディフェンスがカット②コート外か地面にディスクが当たる③10アウトの3つなんですが、この選択権はオフェンスにあるので、それぞれを考えてもあんまり意味がないんですよね。分かっておいてほしいのは、エリアを狭めることであって、オフェンスにべったりくっつくことでもないし、3つのどれかを狙いに行くことでもないということです。
結果的にマイナスに飛んでいってディフェンスにカットされるのか、プラスすぎてパスが通らないのか、投げたら食われそうだから投げずに10アウトになるのか、針の穴を通すような素晴らしいスローで難しいパスを通すのかはオフェンスが選ぶのです。
あと、よく言われることですが、
99%の確率で通るパスを10回投げたら、すべてのパスが通る確率は約90.4%ですが、90%の確率で通るパスを10回投げたら、すべてのパスが通る確率は約34.9%です。
1%でも2%でも通るエリアを減らして、パスが通る確率を減らすことができれば、そのうちTOは起きます。
(参考)
98%10回→約81.7%
97%10回→約73.7%
95%10回→約59.9%
2.ディフェンスのつき方〜トムとジェリーじゃありません〜
頑張ってついていく、とにかくオフェンスに近い位置をキープする、といったディフェンスを僕は『トムとジェリー※』と呼んでます。
『体が大きく凶暴だが、おっちょこちょいでどこか憎めない部分のあるネコのトムと、体は小さいが頭脳明晰で、追い掛けてくるトムをことも無げにさらりとかわすネズミのジェリーのドタバタ劇』
ディフェンスは必ず後出しになので、足の速さが同等であれば絶対止められません。首を振って情報収集して選択肢を絞っていく必要があるのです。
さて、ディフェンスは、人間が空を飛べない限り
・体の向き(θ)
と
・立ち位置(座標(x軸とy軸))
で定義できます。できるんです。当たり前です。
2-1.体の向き(θ)
体の向きは首と体に分けます。
首はできるだけオフェンスとスローワーが見える向きです。
体は走りうる方向に背中を向けない向きです。
首:
オフェンスとスローワーが見えない場面もありますが、常に見ようとすることが大事です。そして出来るだけ首を振って情報収集します。
スローワーとマーカーの状況や人の居場所から消せる選択肢を探します。
※ ちなみに、言いたくないですが、日本代表の練習会をお金がないからとあっさり断ったツワモノの後輩に教えてもらいましたが、夕方には伸びた影でオフェンスに背を向けても動きを知ることができる場合があります。その場合はスローワーだけ見ててもいいです。
体:
一番全力疾走する可能性の低い方に背中を向けます。
前にも後ろにも走らなきゃいけない場合は体をできる限り半身にして前にも後ろにも走りやすいようにしておきます。
それでも全方向に走りうるスポーツですので、横走り(半身走り)、後ろ走り(野球の外野がフライををとる動き)・走りながら体を回転させる動きなどは練習しといたほうが可動範囲・守備範囲が広がります。おすすめです。
2-2.立ち位置(座標(x軸とy軸))
結論から言うと、
・投げられそうなところと投げられたくないところが止めたいところ。
・一番止めたいところを止められる立ち位置で、二番目に止めたいところに出来るだけプレッシャーをかけられる位置。
です。
難しく言い換えます。
相手がもらい得るスローについて
【投げられる確率】×【どれだけ嫌か(嫌度)】=優先度
とした時に、優先度が1位のスローを確実に止めた上で、2位のスローをできるだけプレッシャーをかけられる位置にポジションをとるのです。
※3位、4位もできるだけ追いたいが、だいたいの場合優先度がほぼゼロなので無視。
※3つ以上優先度が高い場合、実力差が無ければ他の人の助けを借りなければどれかやられます。
※優先度の高い選択肢が1個しかない場合は他のオフェンスがスペースなど広く与えられてる可能性がありますので、担当のオフェンスを確実に止めた上で他の人を助けてあげてください。
2-2-1.投げられる確率
まずは、マーカーが守ってくれるところ、ライン、風、他者との位置関係によってスローが難しいエリアや飛んでくるスローが想像できないエリアを選択肢から消していきます。
残った場所のうち、
スローが通るスペースが広くて簡単なところ
が確率の高いところです。
スローワーの得意不得意、飛距離、風が考慮すべき要素ですかね。
2-2-2.どれだけ嫌か(嫌度)
ディフェンスが押し込もうとしている方向の逆が嫌です。つまりトラップの場合はアンハメ側に持っていかれるのと、ゲインされるのが嫌です。図はスタックですがフォーメーションは関係ありません。
3.実践〜詰将棋ならぬ詰アルティメットをしてみよう〜
問題2では、もう少しインサイドが広かったり、サイドスローが得意であれば、インサイド駆け上がりが優先順位1位になると思います。状況に応じて判断する必要があるので、あんまりないかもしれませんがこんな問題設定にしました。
さて、やってみると非常に重要な要素が2点浮き上がりました。
●マーカーがちゃんと守るべきところを守り、声を聞いて動いてくれるという信頼があること。
●チーム内での情報共有(ここのスタックの位置はこうだよね、あのスローワーはこのスローがうまいよね。など。)
この二点はちゃんとディフェンスする前提になりますので極めて重要です。一人のマーカーがショボかったり、認識のズレがあると全員の計算が狂います。
マンDは全員できなきゃ意味がなくなってしまうんですね。
ただ、すべて100%はありません。100%に出来るだけ近づくよう頑張って参りましょう。
長くなりましたが以上です。
ありがとうございました。
別記事で説明しなきゃいけないこと
・確実に止められる位置とは〜近けりゃいいんじゃない。コートのx軸とy軸を考えよう〜
・風の特性
・フェイクに引っかからないために〜宮本武蔵の教え「遠山の目付」〜
・応用例題:トラップ以外について
・声について
乞うご期待!